「ハマスホイ」と「ハンマースホイ」はどっちが正しいのか?

こんにちは、アートの定理 明菜です。 2020年1月21日から東京都美術館で開催される『ハマスホイとデンマーク絵画』展、楽しみですね! ハマスホイは北欧のフェルメールとも例えられ、静かな室内を描いた絵画が特徴の画家です。
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《室内》(1898年) スウェーデン国立美術館
しかし、この展覧会名に引っかかった美術ファンは数知れず。 2008年に国立西洋美術館でも同じ画家の展覧会が開催されましたが、その名は『ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情』でした。 2008年に『ハンマースホイ』として紹介され、そろそろ定着したと思われた2020年、表記が『ハマスホイ』になってしまいました。 急な路線変更に驚いた人が多いはず。 どっちが正しいの!?って。
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《ピアノを弾く妻イーダのいる室内》(1910年) 国立西洋美術館蔵
外国の名前には日本語に存在しない音やリズムがあるため、日本語表記がブレてしまうのはよくあることですが… ハマスホイとハンマースホイでは、かなり違う印象です。 そこで、デンマーク語の読み方やネイティブの発音を調べ、ハマスホイとハンマースホイどっちが本来の音に近いのか、調べてみました。 なお、デンマーク語では『Hammershøi』と書かれます。

YouTubeなどで『Hammershøi』を聴いてみた!

ネイティブが『Hammershøi』を発音しているところを聴き、ハマスホイとハンマースホイのどっちが似ているか判断しましょう! これが一番、手っ取り早いです。 デンマークにあるコペンハーゲン国立美術館(Statens Museum for Kunst)の動画では、ゆったりした会話の中で何度かHammershøiが登場しています。
Forvoというサイトでは、発音だけ聞くことができます。 女性の声で How to pronounce Hammershøi 男性の声でVilhelm Hammershøi How to pronounce Vilhelm Hammershøi ネイティブの発音を聴けば聴くほど、ハマスホイでもハンマースホイでもないような気がしてくるんだけど…。 どちらかというと、『ハマスホイ』の方が近いように感じられます。 理由は次の2点。 ①「ン」はあえて書くほど強く発音されていない ②「マ」は短く聴こえるので「ー」は不要

①「ン」について

「ン」はちょっと言ってると思うんですよね… ただ、「マ」の助走みたいな形でくっついており、あえて「ン」と書くほど長く発音されていないのでは。 0.5音分くらい「ン」が入っているかな?ってところ。 ンを入れると『ハンマスホイ』になってしまうのですが、これはこれで違う感じがします。 日本語しか知らない人が読むと、ハン・マス・ホイになっちゃうし。 チンギス・ハンみたいな。 日本語で1音分を割くほどの長さではないので、「ン」は「マ」の一部分として扱っても良いのではないでしょうか。 というわけで、「ン」が無い『ハマスホイ』の方がデンマーク語の発音に近いと思います。 ただ、可能ならば『ハマスホイ』と入れたい。 0.5音分の「ン」を尊重したい。 ハン・マス・ホイと読まれるリスクはありますが…。

②「ー」について

「ー」は無しで良さそうです。 私の耳には「マー」ではなく「マ」と聴こえるのですが、いかがでしょうか? 以上のことから、私の耳には『ハマスホイ』の方が『Hammershøi』に近く聴こえます。 ただし、アクセントは日本語のカタカナから想起されるのと違ったので、つぎはアクセントについて調べていきましょう。

アクセントは『ホ』

実際に聴いてみると、日本人が読むハマスホイでもハンマースホイでもないですよね。 アクセントの位置が違うからです。 Hammershøiは、『ホ』にアクセントが置かれています。 ハマスが低く、ホイが高い。 カタカナを日本語読みすると、こうはならないんですよね。 ハマスホイは「ハ」が高くなるように読んでしまう。 ハンマースホイは「ス」が高くなりやすい気がします。 Hammershøiに近づけるにはカタカナでどう表記するかだけでなく、「ホ」にアクセントを置くことも重要ではないでしょうか。 つまり、『ハマスイ』といった感じ。

検証結果、発表!

ハマスホイとハンマースホイなら『ハマスホイ』の方が近い。 できるなら『ハマスイ』と書きたいくらい、ンは微妙に発音されている。 アクセントは「ハマス」が低く、「ホイ」が高くなる。 と、私の耳が申しております。 デンマーク語は今回初めて触れたので、素人見解ですことお断り申し上げておきますね。 日本語表記の慣例なども本当はあるかもしれませんが、まっさらな素人である私の耳には『ハマスイ』に聴こえた、ということです。
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背を向けた若い女性のいる室内(1903-1904年) ラナス美術館蔵
表記の揺れは西洋美術ではよく見られ、ゴーギャンとゴーガン、ピエト・モンドリアンとピート・モンドリアンなどもあります。 原語との近しさより、先に定着した方が強く残り続ける傾向がある模様。 ハマスホイ、あるいはハンマースホイは、どちらが定着していくのでしょうか? 皆さんも、YouTubeなどでぜひ聞いてみてくださいね! ハマスホイとハンマースホイ、またはそれ以外、どんな風に聴こえますか? ※2020年1月22日追記 ツイッターでアンケートを実施したところ、『ハンマースホイ』に聞こえる方が若干多かったです! とはいえ『ハマスホイ』と大差はつきませんでした。 その他に寄せられたコメントでは『ハンマスホイ』に聞こえる方が多く、3択だったら違う結果になったかもしれませんね。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※パブリックドメインの画像を使用しました。

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