『日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」』主観レビュー。
2020年といえば、そう、日本書紀の成立から1300年のメモリアルイヤーですよね!展示風景東京国立博物館で『出雲と大和』展が開幕しました。 内容たっぷりの展覧会なので記事ですべてを紹介することはできませんが、見どころを簡潔にまとめていきますね!重要文化財《黒塚古墳出土品のうち画文帯神獣鏡 三角縁神獣鏡》古墳時代・3世紀 文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所保管)人間の能力を超えた「幽」の世界を司るオオクニヌシが鎮座する出雲。 現実の「顕」の世界を司る天皇を象徴する大和。 本展ではこの2つの地に焦点を当て、古代の日本について学べます。展示風景まずは「幽」の世界を象徴する出雲から。 10月を神無月と呼ぶのは神々が出雲に集まっているからで、出雲では神在月と呼ぶ。 よく知られたこの話にもあるとおり、出雲は神々が集まる場所とされてきました。《模型 出雲大社本殿》平成11年(1999) 島根・出雲市蔵こちらは平安時代10世紀頃を想定した、出雲大社本殿の復元模型(10分の1スケール)です。 本来の高さは約48メートルもあるんです! テニスコートを2つ、縦に並べるとちょうど同じくらいの高さになります。 想像すると信じられない高さではないでしょうか?左:重要文化財《心御柱》鎌倉時代・宝治2年(1248) 島根・出雲大社蔵、右:重要文化財《宇豆柱》鎌倉時代・宝治2年(1248) 島根・出雲大社蔵(島根県立古代出雲歴史博物館保管)鎌倉時代に本殿を支えた《心御柱(しんのみはしら)》と《宇豆柱(うづばしら)》も、揃って東京へやってきています。 3本の大木を束ねた柱で、3本合わせた直径は約3メートルと大きい。 本展では、《心御柱》と《宇豆柱》を実際の間隔だけ離して展示しています。 2本の柱の間を通れば、タイムトラベルが始まる感じでワクワクするはず!国宝《荒神谷遺跡出土品のうち銅剣》弥生時代・前2〜前1世紀 文化庁蔵(島根県立古代出雲歴史博物館保管)弥生時代の青銅器からは、出雲における祭祀を考察します。 この展示、とにかく量が凄い! 国宝・荒神谷遺跡から出土した銅剣・銅鐸・銅矛は計189点、国宝・加茂岩倉遺跡から出土した銅鐸のうち30点が展示されているのです。国宝《加茂岩倉遺跡出土品のうち 銅鐸》弥生時代・前2〜前1世紀 文化庁蔵(島根県立古代出雲歴史博物館保管)ちなみに青銅器の色といえば、文字にもあるとおり青緑をイメージしますよね。 ですが、青銅器は作られた当初から青かったわけではありません!《模型 加茂岩倉遺跡銅鐸埋納状況復元》令和元年(2019) 島根県立古代出雲歴史博物館蔵こちらは再現展示で、青銅器ができあがったときの色はこのような金色でした。 今見られる青銅器が青緑色なのは、土の中で約2000年のときを過ごし、錆びているからなのです。 錆が進まないよう、クリーニングや保存処理を行ない未来へ残すのも、博物館が担う仕事です。国宝《荒神谷遺跡出土品のうち 銅矛》弥生時代・前2〜前1世紀 文化庁蔵(島根県立古代出雲歴史博物館保管)弥生時代に作られた当初、これらの青銅器がすべて金色だったら… と想像すると、今とは違う派手な景色が浮かんできませんか?展示風景続いて、王権が誕生し「顕」を司る地となった大和の展示へ。 政治権力の象徴である前方後円墳の副葬品や埴輪を通じ、古墳時代の王権について学びます。国宝《七支刀》古墳時代・4世紀 奈良・石上神宮蔵本展には国宝や重要文化財が多数展示されており、中でも必見中の必見なのが国宝・七支刀です。 石上神宮に伝わり、樹木のように枝分かれしているのが特徴の、唯一無二の宝剣です。国宝《七支刀》古墳時代・4世紀 奈良・石上神宮蔵表裏両方に文字が金で象嵌されており、一部は確実に読み取ることができました。 4世紀に刻まれた文字をこの目で見て読めることの幸せと言ったら…。重要文化財《浮彫伝薬師三尊像》飛鳥~奈良時代・7~8世紀 奈良・石位寺蔵本展の最後は、仏像の展示で締めくくられます。 仏教が日本に伝わったのは古墳時代後期のことで、飛鳥時代や奈良時代には仏教が信仰の対象となっていきます。《飛鳥寺塔心礎埋納品》飛鳥時代・6世紀 奈良文化財研究所 飛鳥資料館蔵日本で最初の本格的寺院である飛鳥寺の埋納品がこちら。 古墳の副葬品と共通するものも多く、古墳時代から仏教信仰の時代へと移る過渡期と読み取ることができます。展示風景東京にいると、普段はあまり接点のない出雲と大和。 ほとんど知識が無い状態で展示を見たのですが、興味が湧きますね! 大量の青銅器や可愛い埴輪に心惹かれ、当時の人々が見ていた景色を知りたくなりました。 Share!▶︎Tweet ※取材許可を得て撮影しました。展覧会基本情報
展覧会名:日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」 会場:東京国立博物館 平成館(上野) 会期:2020年1月15日(水)-3月8日(日) 前期展示:1月15日(水)~2月9日(日) 後期展示:2月11日(火・祝)~3月8日(日) 休館日:月曜日、2月25日(火)※ただし2月24日(月・休)は開館 開館時間:9:30-17:00 ※金曜・土曜は午後9時まで開館 ※入館は閉館の30分前まで 所要時間:3時間 観覧料:一般は1600円 公式HP:https://izumo-yamato2020.jp関連情報
予習・復習しにくい展覧会かなって思ったけど、意外と関連しそうな書籍があります。 パナソニック汐留美術館ではモダンデザインの展覧会が開催中! こちらでは20世紀のモダンな日本を見られます。 渋谷のBunkamuraではニューヨークの写真家、ソール・ライターの3年ぶり2度目の回顧展! 六本木の国立新美術館では、ブダペスト展が開催中です。 良質な西洋絵画が見られます! YouTubeの動画づくりを頑張ってます! 読者登録していただくと、LINEに「アートの定理」の更新情報が届きます! 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ツイッターでは、ブログに載せていない写真も掲載しています! 明菜(アートの定理)をフォローする インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします!
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『特別展「出雲と大和」』はにわと信仰と仏教が伝来する前の日本を知る