特別展『江戸ものづくり列伝-ニッポンの美は職人の技と心に宿る-』主観レビュー。

江戸東京博物館の特別展『江戸ものづくり列伝-ニッポンの美は職人の技と心に宿る-』に行って来ました! 可愛い作品がたくさんあって、物欲が刺激される展覧会でした…職人の細かい装飾が凄すぎて。 早速、可愛いものを紹介したいと思います。
IMG_9894
今戸人形 [いまどにんぎょう](金沢春吉/作) 大正~昭和時代 20世紀 江戸東京博物館蔵
今戸人形がとても可愛かったです。 人間や動物をモチーフにした人形の表情は、ニコニコだったり飄々としていたり。 濃縮した感情が手のひらサイズの小さな人形に込められており、こういう生き物が暮らす世界があるように感じられました。 今戸人形は、その名の通り東京浅草の今戸で土によって作られた人形のこと。 型抜きした人形を焼き、彩色して作られます。
IMG_9418
展示風景
浅草土産や神社に奉納する狐の人形などの需要がありましたが、他の玩具に押されて近代以降は作られなくなっていきます。 そんな中、金沢春吉(1868~1944年)は関東大震災をきっかけに今戸人形の製作を再開しました。 江戸時代からの流れを組む今戸人形職人の作品を、本展で鑑賞することができます。
IMG_9901
桑箪笥 [くわだんす](小林礫斎/作) 大正~昭和時代 20世紀 江戸東京博物館蔵
もう一人、細かいところまで可愛いと言えば、小林礫斎(1884~1959年)です。 ミニチュアの箪笥やうちわなど、ドラえもんのスモールライトで実物を小さくしたかのような作品が並んでいます。 先ほどの今戸人形と一緒に展示したら、可愛い住空間が完成するのでは。
IMG_9909
文机硯箱揃 銘 寺小屋 [ふづくえすずりばこそろえ めい てらこや](小林礫斎/作))大正~昭和時代 20世紀 江戸東京博物館蔵
ほとんどの作品は、礫斎が下地を作り、加工や装飾はそれぞれの職人に任せていました。 職人たちが各自の得意分野を持ち寄って作品を作り上げるところも、日本の伝統工芸の特徴です。 小さな引き出しにこれまた小さな金具を付けたり、蒔絵や螺鈿による細かな装飾もあったり、完璧です。 そのまま30倍くらいに大きくしても、アラは見つからないのでは…。 礫斎を始めとする職人たちの技量の高さがよく分かる作品たちです。
IMG_9359
黒塗丸十花桐紋散蒔絵化粧箱 江戸時代 19世紀 ベニス東洋美術館蔵
こんな風に、本展では江戸東京の職人の技量について学ぶことができます。 美術の領域に達した工芸品も多く、日本の美意識が分かりますね。
IMG_9431
展示風景
ところで、1960年代頃の日本は、大量生産・大量消費の時代でした。 電化製品など便利なものを買うことで豊かさを手に入れることができた時代で、企業もそのニーズに応えるべくモノをたくさん生産しました。 それがバブルに入って「他の人とは違うちょっと良い物を」と変化しましたが、バブル崩壊後、近年では「消費離れ」というキーワードが出現。 60年代までの「大量生産・大量消費」はどこへ行ったのか、という感じです。
IMG_9352
左:唐織 亀甲文扇面模様 江戸時代 19世紀 ベニス東洋美術館蔵、右:浅葱縮緬地御所解模様小袖 江戸時代 19世紀 ベニス東洋美術館蔵
一方で、自分仕様に特化した消費の波は最近来ていると思います。 誰もが知るハイブランドより、お気に入りのセレクトショップを見つけるのがオシャレと言われるように。 流行が1周回ったのでしょうか。 今なら、本展で展示されるような遊び心のある作品が、美術好き以外の人も含めて広く受け入れられるのではないかと思います。
IMG_9407
左:正月飾図 柴田是真 江戸~明治時代 19世紀 個人蔵、右:下絵 正月飾図(柴田是真絵様手控類)柴田是真 江戸~明治時代 19世紀 江戸東京博物館蔵
しかし、当時の技術が現代に継承されているとは考えにくいものも多く、残念に思いました。 機械化が全ての要因ではないと思いますが、便利さを求めた時代が一時の流行であったなら、そのために多くの職人の技術が失われたのではないでしょうか。
IMG_9902
栄螺形香炉 [さざえがたこうろ](三浦乾也/作) 明治時代 19世紀 個人蔵
本展を通じ、遊び心ある可愛い作品を通して現代社会を透視するように見ることができました。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※取材許可を得て撮影しました。

展覧会基本情報

展覧会名:特別展 江戸ものづくり列伝-ニッポンの美は職人の技と心に宿る- 会場:東京都江戸東京博物館(両国) 会期:2020年2月8日(土)-4月5日(日)※会期中に一部展示の入れ替えあり 休館日:毎週月曜日(ただし2月24日は開館)、2月25日(火) 開館時間:9:30-17:30(土曜日は19:30まで)※入館は閉館の30分前まで 所要時間:2時間 観覧料:特別展専用券 一般は1100円、他 公式HP:https://www.edo-tokyo-museum.or.jp 問い合わせ:03-3526-9974(代表)

関連情報

柴田是真は植物の写生も多く残しています。 東京ステーションギャラリーでは、バルセロナの美術の展覧会が開催中! 東京都庭園美術館では、ルネ・ラリックのガラスの展覧会やってます! 1泊2日で京都の良いところ巡ってきました。 名所とスケジュールの紹介です! YouTubeの動画づくりを頑張ってます!
読者登録していただくと、LINEに「アートの定理」の更新情報が届きます! 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ツイッターでは、ブログに載せていない写真も掲載しています! インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ Instagram 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
にほんブログ村