『超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵』主観レビュー。

『超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵』展に行って来ました! 「写真展です」と言われれば納得してしまいそうなほど、現実味のある絵画です。
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森本草介《未来》2011年 油彩・キャンバス
ホキ美術館は、2010年に開館した世界初の写実絵画専門の美術館です。 「写実絵画」を簡潔に定義するのはまた難しいのですが、「写真のよう」「本物そっくり」でリアリティに迫った絵画、といったところでしょうか。
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青木敏郎《レモンのコンフィチュール、芍薬、染付と白地の焼物》2013年 油彩・キャンバス
うん、凄いリアリティだ。 でも、その認識すらすぐに危うく感じられるようになってくるんですよね。 本展ではさまざまな作家の写実絵画を見られるのですが、それぞれに個性があるんです。 モチーフや色味は作家によって全く異なりますし、近づいて見ると技法も異なることに気づけます。
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島村信之《幻想ロブスター》2013年 油彩・キャンバス
各作家のセンスによって現実が切り取られ、ときに脚色され、それぞれの世界観が分かりやすく描かれているのです。 それが写実絵画なのかな、と思います。
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小木曽誠《森へ還る》2017年 油彩・テンペラ・キャンバス
写実絵画は現実に存在していて誰もが知っているようなものを描いているので、「何が描かれているか」がとても分かりやすく、入りやすいです。 知らない人や景色が描かれた作品もありますが、それが「女性だ」「海外のどこかだ」と分かるので、分かりやすいと思います。
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五味文彦《いにしえの王は語る》2018年 油彩・パネル
だけど、写実絵画は「写真で代用できる平面」でもないんですよね。 単純に「見たまま」でもないし、写真と同じようなものでもないのです。 1年に数点しか描けないほど1つの絵画に時間をかけるので、作家の美意識と技術が濃縮されており、自由度の高い絵画による世界ができるのかな、と思います。 1枚の絵に年単位の時間を割いて、完成させる。 その行為が宗教的というか…魂や情を込める行為なのではないかと。
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野田弘志《聖なるもの THE-Ⅳ》2013年 油彩・パネル・キャンバス
中世ヨーロッパのゴシック教会と共通する神聖さがありませんか。 ゴシック様式はそれ以前のロマネスク様式の建築に比べて、すーっと背が高いのが特徴。 天上の神に近づこうとして高さを追求した結果だ、と言われております。 写実絵画にも似たような感覚がありました。 3次元の世界を2次元の絵画で追求し、最終的には万物の神にそっと触れようとするような…何か物静かな挑戦意欲を感じ取ったんですよね。
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島村信之《籐寝椅子》2007年 油彩・キャンバス
ぼんやりした言い方になってしまってすみませんが、具体的な言葉にできる範囲を超えてますよ、ホキ美術館のコレクション。 伝統ある写実絵画というジャンルは、ここまで来ているんだな、と感じられます。
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原雅幸《ドイル家のメールボックス》2012年 油彩・パネル
ホキ美術館は2019年10月25日の豪雨による水害の被害を受け、営業を中止しています。 収蔵庫や一部の展示室が被災し、約100点のコレクションが浸水。 修復が必要な作品もあるそうです。 現在のところ再開の時期は分かりませんが、本展に行くことで応援できたら良いのではないかと思います。 今度は新型コロナウイルスの感染拡大という強い逆風が吹いていますが、渋谷にお勤めの方など、ふらっとお立ち寄りいただくことはできるかと。
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ホキ美術館 内観
リアリティを追求した絵画は誰もが知っているモチーフを描いているため、取っつきやすいです。 なぜそのモチーフを選んだのか、作家の美意識はどこに投影されているのか、考えながら見ると面白いですよ。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

展覧会基本情報

展覧会名:超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵 会場:Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷) 会期:2020年3月18日(水)-5月11日(月)中止 所要時間:2時間 観覧料:一般は1600円 公式HP:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_choshajitsu/

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