『ジャム・セッション 石橋財団コレクション × 鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり』主観レビュー。

アーティゾン美術館で開催中の展覧会『ジャム・セッション 鴻池朋子 ちゅうがえり』に行ってきました! 凄い空間…!
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展示風景
鴻池朋子(こうのいけ ともこ)さんは、絵画や彫刻に加え、地方の歌や現代のさまざまな人の語りを扱ったり、動物の皮を作品に使ったりする現代美術家。 人間の文化の原型を「狩猟採集」と捉える一方で、その原型をいかに解体し反転できるかを考えて制作を行っているそうです。
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展示風景
展示室は少し暗いので、視覚以外の感覚も研ぎ澄まされる気がしました。 夜の森みたい。 動物の鳴き声も聞こえてきますよ。
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展示風景
展示室の真ん中には、円形に配置された大きな襖絵がありました。 滑り台でその中心に降りられるようになっています。 ストンと着地した瞬間、妖艶な襖絵の世界に入ってしまったようで、魔法にかかった感じがしました。 (滑り台なので、スカートより動きやすいズボンなどで行くのが良いかな)
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展示風景
動物の毛皮を使った作品は、都会の外側をイメージさせます。 これらの作品は、現代社会の境界の外側を象徴しているように感じました。
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展示風景
しかしここは東京のど真ん中にある美術館。 本展は都会の内と外が繋がり、互いが干渉し合う場所になっているのではないでしょうか?
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展示風景
人間と動物、安全と危険、日本と外国など。 内と外を意識することで、2つの物事の間にあるさまざまな「区切り」にも意識が向きました。
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展示風景
ところで鴻池さんは、国立新美術館で開催中の展覧会『古典×現代2020ー時空を超える日本のアート』にも参加しています。 刀剣と鴻池さんの作品がコラボし、切ることや命をいただくことと向き合えるインスタレーションとなっています。 『古典×現代2020ー時空を超える日本のアート』のレビューはこちら。 その展示の中で、鴻池さんは刀をかつて人が狩猟採集に用いた「切るための道具」と位置付けています。 不意に訪れる喰うか喰われるかの場面で、刀は異界と「連絡をつける役目」を担うのだとしたら…と考察していました。
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展示風景
アーティゾン美術館の『鴻池朋子 ちゅうがえり』では、そのあたりをより深く探れたように思います。 鴻池さんのアートが、都会の内と外を繋いで開く役割を果たしているように感じたとき、『古典×現代2020』の展示とリンクしました。
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展示風景
さらに本展では、ギュスターヴ・クールベの絵画《雪の中を駆ける鹿》がかかっていることも印象的でした。 クールベは写実主義の画家で、現実をありのままに克明に描いた19世紀フランスの画家です。
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展示風景、奥の絵画:ギュスターヴ・クールベ《雪の中を駆ける鹿》1856-57 年頃 石橋財団アーティゾン美術館
まるで写真のように動物の動きを捉え、躍動感あふれる姿をキャンバスに表現したクールベ。 彼の目は、猟師の目だったのかもしれません。 狩猟採集をテーマとする現代美術家と、19世紀フランスの画家が繋がること自体も面白いです。 また、現代人にも狩猟採集の記憶がほんのひとかけらでもあるのかもしれないな、と思いました。
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展示風景
狩猟採集とは、ざっくり言えば人間社会の外側のものを、内側に運んでくること。 ならば、今の社会の課題となっている「人間と自然との共生」は、人間が内から外へ働きかける真逆の動きでしょう。 鴻池さんは狩猟採集をテーマとしていますが、真逆となる「内から外への働きかけ」も描き出していると感じました。 私たちがどう生きるかという課題について、見た人が何かを持ち帰れる展示だと思います。
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展示風景
少し暗めの展示室で、動物たちが住む世界を垣間見る展覧会。 人間が人間社会を生きると同時に、大きな地球を構成するちっぽけな一員でもあることを、五感で考えることができました。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※取材許可を得て撮影しました。

展覧会基本情報

展覧会名:ジャム・セッション 石橋財団コレクション × 鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり 会場:アーティゾン美術館 6 階展示室(東京・京橋) 会期:2020年6月23日[火] - 10月25日[日] 休館日:月曜日 (8月10日、9月21日は開館)、8月11日、9月23日 開館時間:10:00 - 18:00 *入館は閉館の30分前まで(当面の間、金曜20時までの夜間開館は中止) 所要時間:1.5時間 観覧料:日時指定予約制(一般はウェブ予約チケット1100円、当日チケット1500円) 公式HP:https://www.artizon.museum/

関連情報

鴻池朋子さんの作品集。 インタビューや解説を読むと理解が進むので、本展で鴻池さんに興味を持ったらぜひ読みたい1冊です。 アーティゾン美術館では、2つの企画展と2つのコレクション選が開催されています。 もう1つの企画展は、ヴェネチア・ビエンナーレの帰国展となる『Cosmo-Eggs | 宇宙の卵』です。 命の始まりを強く感じる展覧会だった…! コレクション選の『印象派の女性画家たち』も。 女性の立場が高くなかった時代から、印象派は対等に制作していたらしい。 現代社会に生きる私たちも、絵の魅力に加えて色々と感じ入るものがあると思います。 新たに収蔵された作品を中心とした、パウル・クレーの特集も見どころ。 少し予習するだけで、かなり見やすくなるのではと思います! YouTubeの動画づくりを頑張ってます!
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