『大江戸歳事記』主観レビュー。

すみだ北斎美術館で開催中の展覧会『大江戸歳事記』に行って来ました!
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「歳事記」とは、年中行事を四季や月ごとにまとめた書物のこと。 本展は葛飾北斎や門人たちの絵を通し、江戸時代の年中行事に触れる展覧会となっています。 端午の節句や七夕のように、現在も広く知られている行事はもちろんのこと、あまり知られていない行事もたくさんありました。
葛飾応為『女重宝記』五_すみだ北斎美術館
葛飾応為『女重宝記』五 たなばたまつり(通期)すみだ北斎美術館蔵
例えば9月9日の重陽の節句(菊の節句)は、菊の花びらを浮かべた菊酒を飲んで健康や長寿を祈願する日。 なぜ菊なのかというと、中国の故事の菊慈童に由来するそうですよ。 本展では、菊慈童を描いた北斎の作品が展示されていました。
葛飾北斎「菊慈童」すみだ北斎美術館
葛飾北斎「菊慈童」(前期)すみだ北斎美術館蔵
容姿が美しく周の穆王に愛された慈童は、罪を犯して流されるのですが、菊の露を飲んで少年の姿のまま不老不死になった、というお話。 それから約700年後、魏の文帝に召し出された慈童が秘術を伝えると、文帝は菊の宴を開いて長寿を祝ったとされ、これが重陽の宴の始まりになったとされているのだそうです。 展覧会の後期には、北斎の鍾馗図も展示されます。 端午の節句には、五月人形とともに鍾馗の人形や絵を飾るご家庭もある…のですか? 男兄弟のいない環境で育ったので、端午の節句自体もよく分かっておらず…
葛飾北斎「朱描鍾馗図」すみだ北斎美術館
葛飾北斎「朱描鍾馗図」(後期)すみだ北斎美術館蔵
鍾馗は魔除けの神様で、特に朱描きの鍾馗図は流行病の疱瘡除け、すなわち疫病退散の祈りを込めて描かれたそうです。 コロナ禍の今見るとリアリティが増します。 特効薬もワクチンも無く、どこへ進むべきか誰も分からない状況下で、「祈るしかないんじゃないか」と誰もが思ったのではないでしょうか…
大山北李「享保雛図」すみだ北斎美術館
大山北李「享保雛図」(前期)すみだ北斎美術館蔵
そうそう、盆踊りが禁止になったことがある、って知ってました? あの無害そうなイメージしかない盆踊りがですよ! やぐらを囲んで簡単な振り付けを踊る安心安全なイメージだったので、展示の解説パネルで禁止されたことがあると知って驚きました。 展覧会の解説によると、盆踊りは江戸時代には華美になり、幕府の禁令も出たため流行り廃りが激しかったのだとか。 調べてみると、盆踊りは男女の出会いの場でもあったそうです。 古今東西、ダンスには性や魂を解放させるパワーがあるのかもしれないですね。 お祭りと禁令を現代に置き換えると、ハロウィンの渋谷が思い出されます。 禁止されてはいませんが、どさくさに紛れて犯罪が起きるなど一部で暴徒化があり、毎年問題になっているのは事実です。 思えば、ハロウィンではコスプレによって普段は出せない自分をさらけ出せるようになっているのかもしれません。 「日常生活からの解放」という意味で、江戸時代の盆踊りが現代のハロウィンと重なって見えました。
葛飾北斎『北斎漫画』四編(部分)すみだ北斎美術館
葛飾北斎『北斎漫画』四編(通期)すみだ北斎美術館蔵
こんな風に、今も昔もほとんど変わらない行事もあれば、かなり変わってしまった行事、忘れ去られかけている行事もあります。 そしてハロウィンやクリスマス、バレンタインデーのように現代には現代の行事があるのも確か。 西洋文化の輸入が基ですが、今ではすっかり日本独特の形で定着しています。
葛飾北斎「新板浮絵三芝居顔見世大入之図」すみだ北斎美術館
葛飾北斎「新板浮絵三芝居顔見世大入之図」(前期)すみだ北斎美術館蔵
江戸時代の年中行事を学びつつ、現代の行事を思い出してみると、もちろん変わった部分も多いけど、変わっていない本質も浮かび上がるのではないかと思います。 「年に一度のイベント」という特別を求めること、それを理由に集うこと。 暦を理解し、社会を持った人間ならではの本質が見えるような気がしました。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※許可を得て画像を掲載しました。

展覧会基本情報

展覧会名:大江戸歳事記 会場:すみだ北斎美術館(両国) 会期:2020年6月30日(火)〜8月30日(日) ※前後期で一部展示替えあり  前期:6月30日(火)~8月2日(日)  後期:8月4日(火)~8月30日(日) 休館日:毎週月曜日(開館:8月10日(月・祝)、休館:8月11日(火)) 開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで) 所要時間:1.5時間 観覧料:一般は1000円 公式HP:https://hokusai-museum.jp/saijiki/

関連情報

北斎の鍾馗図など、肉筆画は線の一本一本までつぶさに見たい。 単眼鏡を使って見ると、画家の筆運びの巧みさがよく分かります。 東京国立博物館では、きもの展が開催中です! ポーラ美術館では、西洋絵画の巨匠モネとマティスの展覧会が開催中です。 東京都現代美術館では、自然やエコロジーをテーマに制作する注目のアーティスト、オラファー・エリアソンさんの個展が開催中です! YouTubeの動画づくりを頑張ってます!
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