『東京好奇心 2020 渋谷』主観レビュー。

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展示風景
Bunkamura ザ・ミュージアムで『東京好奇心 2020 渋谷』が開幕しました! 100人の写真作家が参加し、約200枚の写真が展示される、大規模な展覧会です。 平均すると1人2枚ずつくらいの展示になるので、色々な作家の作品を一気に見ることができ、とても賑やかな展示となっています。
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展示風景
本展を読み解く上でカギとなる、4つのキーワードがこちら。 ①Identity 私たちは何者か? 自分をどのように定義し、他人にそれを認識させることができるか? ②Diversity 世界に共存する多様な価値や規範とどのように向き合うか? 自然環境・文化・宗教・習慣・ライフスタイル ③Here and now 今、ここで生きる価値とは? 現代社会の身体感覚と調和する価値観や美意識 ④timelessness 永遠に色褪せることのない精神の有り様とは? 伝統や文化を継承させる真髄
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展示風景
少し難しいキーワードかもしれません。 ですが、自分は何者で、他者とどのように多様性を認め合って生きるのか。 自分が今生きる意味とは、永遠なものはあるのか。 噛み砕いてみたら、ちょっと考えたことかあるかも?な身近なテーマです。
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展示風景
でもでも、難しく考えなくて大丈夫です。 本展では、写真が持つ本当の力に触れることができるはず。
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展示風景
現代では、誰もがカメラ付きのスマホやケータイを持ち歩いているし、写真はとても身近なものになっています。 それは良いことかもしれませんが、「写真は誰でも撮れる」「加工でプロっぽい写真になる」とも思われるようにもなってきており、私は写真の真価が見えにくくなっているな、とも感じていました。
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展示風景
本展で、写真の本当の力は濃い霧の向こうにあるんだ、と気づきました。 私たちは、自分のスマホカメラやSNSで日々写真に触れているけど、本当の力は霧に隠れて見えていなかったのです。
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本城直季 作品展示風景
例えば、本城直季さんのミニチュア風の風景写真は、とても可愛い。 見慣れた場所もジオラマのようだし、人間も人形のように見えてきて、不思議な違和感です。 違和感を解決して安心したい心理が働いたのか、作品の中に「これが現実である証拠」を見出すため、隈なく探してしまいました。
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マーティン・ロイツェ 作品展示風景
マーティン・ロイツェさんの作品は、インパクトのある独特の切り取り方で、一度見たら忘れられない写真です。 抽象絵画を描くように形と色を配置した、研ぎ澄まされた美意識が特徴です。 これが現実の一瞬を切り取ったものだとは…。 決定的な瞬間を捉えるための準備力も、写真の魅力を支えているのだと思います。
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土田ヒロミ 作品展示風景
土田ヒロミさんの静物画のような2枚も。 時計は広島に原子爆弾が投下された8時15分で止まっています。 お弁当箱には、その日の糧となるはずだったご飯が入ったまま。 原爆、撮影時、そして現在と、3つの光を持つ作品です。
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展示風景
100人の作家の作品が展示されているので、表現の多彩さと奥行きをすぐに飲み込むことができました。 SNSで素人の加工写真に慣れた目には、とても強い刺激です。 1枚の写真が持つ情報量がケタ違いで、目のくもりが晴れました。
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展示風景
約200のどの作品も、多様なバックグラウンドを持つ人々が集まる東京で展示される意味がある作品です。 (余談ですが、100名もの作家が集まって1つの展示を行うこと自体が、東京の縮図であるように思います)
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展示風景
本展では、濃い霧をスカッと晴れさせ、写真の本当の力に向き合う体験ができました。 1枚の写真を通じて、私の知らない場所・時間の出来事を知ることができる。 その本当の意味が少し分かったような気がします。
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展示風景
写真を見た人にその時間・空間を想像させ、映像に変換して追体験させること。 これは凄い奇術です。
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展示風景
さて、展覧会を訪れる前に、音声ナビゲートについてお知らせさせてください。 本展では端末の貸し出しは無く、来場者が自分のスマホとイヤホンを持って行って音声ナビゲートを聴くシステムになっています。 ですので、スマホとイヤホンを忘れないで持って行きましょう! 『33Tab』というアプリを使うので、できれば自宅でインストールしておくのがおすすめ。 無料でインストールできますし、私も使っているし怪しいアプリではないので、こちらからインストールをお願いします。
33Tab ミミタブ  音声プログラムアプリ
33Tab ミミタブ 音声プログラムアプリ
開発元:Hakuhodo DY media partners Inc.
無料
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一度立ち上げて登録を済ませておくと、美術館を訪れてからスムーズに音声ナビゲートを聴くことができますね。 ナビゲーターはジョン・カビラさん、クリス智子さん、ハリー杉山さん、マリエさん。 国際色ゆたかで豪華な面々です。
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展示風景
本展は写真の本当の力に触れられる展覧会でした! 約200の作品を通し、写真が無ければ知ることができなかった、決定的な瞬間に立ち会うことができます。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※取材許可を得て撮影しました。

展覧会基本情報

展覧会名:東京好奇心 2020 渋谷 会場:Bunkamura ザ・ミュージアム 会期:2020/10/20(火)~11/12(木) 休館日:会期中無休 開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで) 所要時間:2時間 観覧料:一般は1000円 公式HP:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_curiosity/

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