『ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代』主観レビュー。

Bunkamura ザ・ミュージアムで『ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代』が開幕しました! 「クール」「かっこいい」といった形容詞が世界一似合う画家です。
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展示風景
ビュフェの作品には、どちらかというと「不穏」な印象があります。 闇を抱えたようなモチーフが多く、また鋭くて硬そうな輪郭線もあってか、浮世のつらさや現世の地獄が表現されているように思いました。
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展示風景
同時に、これ以上なく洗練された絵画だとも感じます。 必要な要素だけで構成され、目を惑わせる部分が何一つ無いんです。 ビュフェの絵の前に立ったとき、ビュフェと自分しかいない空間ができたように感じられました。
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展示風景
ベルナール・ビュフェは、第二次世界大戦後に活躍したフランスの画家です。 1940年代のパリといえば、「アンフォルメル」の厚塗りな抽象絵画が台頭し始めた時代ですが、対抗するように具象を描く絵画も生まれています。 ビュフェも後者の一人に位置付けられ、ベルナール・ロルジュやアンドレ・ミノーとともに、「新具象派」や「オムテモアン(目撃者)」と呼ばれていました。
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展示風景
ビュフェの初期の絵画は、色彩が控えめで全体的にグレーがかっています。 主題も戦後の人々の不安と共鳴したらしく、若くて売れっ子画家になりました。
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展示風景
ビュフェは社交が苦手だったので、ピエール・ベルジェが支えたそうです。 ベルジェは後にイヴ・サン=ローランのパートナーとしてイヴを支えた人でもあります。 2014年の映画『イヴ・サンローラン』ではイヴのプロデューサー的なベルジェの姿も描かれており、ビュフェとベルジェの関係もこんな感じだったのかな、と想像してしまいました。
イヴ・サンローラン(字幕版)
シャルロット・ルボン
2015-03-20


ビュフェにとってターニングポイントとなる年が、30歳を迎えた1958年です。 1958年以降の作品は、色彩が鮮やかで力強く、「彫刻?」と思ってしまうほど絵の具の凹凸が激しい絵画を制作しています。 それまでの落ち着いたトーンの様式から離れ、次なる絵画を求めて行ったように見えました。
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展示風景
今回の回顧展は作品が概ね制作順に並んでいるため、作風の変化を見るのも面白いです。 例えば、1970年代には写実的な作品も残しています。
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展示風景
後退りするほど上手い。 横幅5メートルにもなる《ドン・キホーテ 鳥と洞穴》も見ることができました。 どうやって運んだの、とかも気になってしまいますね〜。
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展示風景
私が一番気になったのは、ビュフェの風景画です。 人物が1人も描かれていないので、「廃墟…?」と思ってしまうほどの寂しい感じがします。
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展示風景
さらに、建物を描くときの図形としての正確さが目を引きます。 陰影はほとんど無く、線で立体を表現しているんです。 ビュフェの線への自信が強く感じられるので、風景画には特に強く惹きつけられました。
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展示風景
あと、ビュフェはサインもかっこいいので、気にしながら観て欲しいな、と思います。 「Bernard Buffet」と絵の中の割と目立つところに書かれているのですが、縦に引き伸ばしたような書体で、不気味さとクールさが共存していました。 絵の所有権を主張するかのように大きく描かれており、サインも含めて1枚の絵になっています。
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展示風景
展示全体を通して、ビュフェの「線への自信」を強く感じることができました。 他の画家には無い形容しがたい魅力を持っているのですが、その魅力をどうにか一言で表すなら「線への自信」だと思います。
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展示風景
東京でビュフェの画業の全体像が見られる機会は、そう多くはありません。 たくさんの実物を見て、ビュフェの魅力を発見することができました。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※取材許可を得て撮影しました。

展覧会基本情報

展覧会名:ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代 会場:Bunkamura ザ・ミュージアム 会期:2020年11月21日(土)~2021年1月24日(日) ※1/9以降の土日祝のみ入場日時予約制 休館日:2020年1月1日(金・祝) 開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで) 所要時間:1.5時間 観覧料:一般は1600円 公式HP:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_buffet/

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