『STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示』主観レビュー。

アーティゾン美術館で『STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示』が開幕しました! 新たに収蔵された未公開の92点を含め、200を超える作品が展示される大規模なコレクション展です。
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エレイン・デ・クーニング《無題(闘牛)》1959年 ©Elaine de Kooning Trust
数も多いですが、ジャンルも多岐にわたります。 いわゆる抽象的な絵画、デュシャンのおもちゃ箱のような作品、芸術家を写した写真、戦後の美術、オーストラリアの美術など、盛りだくさんなので一言では言い表せない展覧会です。
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展示風景
14のセクションで構成されていますが、1つ1つ独立した展覧会としても成立しそうな内容の濃さなんですよね。 一石十四鳥みたいな感じです。
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ジャン・メッツァンジェ《円卓の上の静物》1916年
それほど充実しているので、行ってみたら引っかかるポイントが絶対にあると思います! 全てのセクションをしっかり紹介しようとすると、14回にわたる連載をしなければならないので、ここでは気になった作品を少しだけ紹介しますね。
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展示風景
まずは大好きな藤島武二の《東洋振り》です。 人物をきっちり横から描いており、イタリアのルネサンス期の絵画からの影響が見て取れます。
E40-461
【新収蔵作品】藤島武二《東洋振り》1924(大正13)年
中国の衣服を身につけており東洋の色が濃いですが、東洋の絵でここまで綺麗な横向きの絵も少なく、東洋の絵としては異彩を放っています。 私としては、横顔といえばルネサンス以外に古代エジプトの絵も思い出すので、色々な時代や地域の文化が1枚に混ざって感じられます。
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展示風景
デュシャンのおもちゃ箱のような作品も見所です。 ミニチュアの作品やメモのような紙などが収められており、ギターケースに夢だけ詰めて上京する若者のようなロマンがあるのですが、この表現って伝わりますか?
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「7.デュシャンとニューヨーク」より展示風景
デュシャンは小便器にサインを書いた《泉》を展覧会に出品しようとして物議をかもしたエピソードが有名になりすぎて、他の作品はあまり知られていないかもしれないですね。 ただ例によって「丁寧に文脈を読み解いて、それでも本人の意図を理解できるかできないか」といった感じの作品が多いので、彼のメモは鑑賞においても大切な役割を果たします。 そのよく分からなさが好きなんですけどね。 本人の中で筋が通っていて、堂々と世に出していること自体が美しいと思います。
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「5.抽象表現主義の女性画家たちを中心に」より展示風景、手前:【新収蔵作品】デイヴィッド・スミス《8月の大鴉》1960年
デイヴィッド・スミス《8月の大鴉》もとても好きな立体作品です。 全体を見ると確かに鳥のような形をしていますが、作品を構成するスチールは長方形など単純な形が多いです。 単純な平面のパーツを組み立ててオブジェにしているので、建築の手法に近いような気もしました。
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【新収蔵作品】デイヴィッド・スミス《8月の大鴉》(部分)1960年
影も良いですね~。 彫刻は3次元の美術と言われますが、影も含めて4次元なのではないかという気がしてきます。
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展示風景
抽象表現のカンディンスキー、クレーの展示もありました。 クレーは以前、コレクション展で特集されており、記事にしたので詳しくはこちらで…ということで。 初めて知る近現代の作家も多く、現在進行形でコレクションを進めていることが分かる展覧会でした。 ですが、本当に目を向けたいのは、これだけの多岐にわたる収蔵品を守り受け継いでいく覚悟の部分だと思います。 絵画、彫刻、写真のみならず、近現代の素材もさまざま・ジャンルもさまざまな作品を収蔵することに加え、守っていく部分に美術館としての真価があるのではないでしょうか。 作品の多様化に伴い、保管・保存の方法も多様化して対応していかないといけないですもんね。
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展示風景
避けられない劣化をどうにか遅らせ、次の世代に受け継ぐこと。 こんなに難しいことって無いですよ、作品が勝手に若返ることなんて絶対に無いんだから。 しかも保存のことだけを考えたら、「展示しないのが一番だよね」って結論になってしまいます。
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展示風景
そうした難しいバランスの上に、私たちの見る機会・知る機会があることを痛感しました。 要約すると「たくさん見られて凄い!」となりますが、深掘りすると「凄さ」を通り越して「感謝」になる展覧会でした。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※取材許可を得て撮影しました。

展覧会基本情報

展覧会名:STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示 会場:アーティゾン美術館 会期:2021年2月13日[土]ー 5月9日[日] 2021年2月13日[土]- 9月5日[日] ※会期が変更になりました。休館日等は公式ホームページでご確認ください。 休館日:月曜日(5月3日は開館) 開館時間:10:00 ー 18:00 *入館は閉館の30分前まで 所要時間:2時間 観覧料:日時指定予約制 〇一般:ウェブ予約チケット1200円、当日チケット(窓口販売)1500円 〇学生無料(高校生以上要ウェブ予約) 公式HP:https://www.artizon.museum ※スマートフォンとイヤホンを持参すると、アプリで声優の細谷佳正さんによる無料音声ガイドを聞くことができます。

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