『没後70年 南薫造』主観レビュー。

東京ステーションギャラリーで展覧会『没後70年 南薫造』が始まりました! とはいっても、「南薫造(みなみ・くんぞう)って誰?」とハテナが浮かんでる人も多いと思います。
02《少女》東京国立近代美術館
南薫造《少女》1909年、東京国立近代美術館
南薫造(1883-1950年)は、明治末から昭和にかけて活躍した洋画家です。 しかし「いやいや洋画って何?」とピンと来ない方もいらっしゃるのでは。 今回は南薫造を紹介する前に、洋画とは何か、今洋画を見る理由は何なのかに重きを置きつつ、展覧会を紹介していきます。
03《坐せる女》広島県立美術館
南薫造《坐せる女》1908年、広島県立美術館
美術における「洋画」とは、端的に言うと「西洋美術の手法を学んだ日本の画家が描く、西洋風の絵」といった感じです。 油絵具など西洋の道具を用い、遠近法が使われ奥行きのある絵が多いです。 (甘めの定義なので言い切るのは怖いですが、初心者向けの簡単な説明ということで…)
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展示風景
なぜ洋画が誕生したのかというと、鎖国が終わって明治時代に入り、海外の美術もどっと流入するようになったことが大きいです。 浮世絵を連想していただくと分かりやすいのですが、江戸時代の絵と洋画は全く異なる描き方です。
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展示風景
やがて絵を志す日本の若者が海外に留学できるようになり、絵画の模写によって自身の腕を磨くのみならず、海外のアートを日本に持ち込みました。 留学を経験した洋画家でよく知られているのは、フランスのパリに留学した黒田清輝だと思います。 本展で特集される南薫造はイギリスに留学し、イギリス内外のヨーロッパの美術を学びました。
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展示風景
「洋画」は「西洋絵画」ではないし「日本画」でもなく、微妙な立ち位置です。 そんな洋画、最近は展覧会が減っているそうです。 減っている理由は定かではないですが、私の感覚だと、「日本はダサい、欧米風がカッコいい」な価値観が廃れてきて、「自国の良いものを見つけよう」と変わってきた動きと無関係ではないように思います。 「日本人が描いた西洋風の絵」より「日本人が描いた日本の絵」の方が、今の時代は響きやすいのかな、と。
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展示風景
でも、洋画ってとても面白いと思うんです! 文化が混ざった証なんですよ、こんなに面白いことはないです。 日本に日本画があることや、西洋に西洋絵画があることは割と自然なことで、何も不思議はありません。 一方で、鎖国・開国が無かったら、洋画は「今も誕生していない美術」だったかもしれません。 自然には発生しなかったミラクルであることが、とんでもなく面白いと思います!
06《六月の日》東京国立近代美術館
南薫造《六月の日》1912年、東京国立近代美術館
そんな洋画界の王道を歩んだ中心人物が、南薫造です。 彼はイギリスに留学し、ヨーロッパ各地にも旅をして、西洋絵画を学びました。
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展示風景
こうして色々な美術を見てきた南薫造の作品は、一言で○○派とは表現できない多様なものとなっています。 アカデミックな肖像画もあれば、日常を柔らかく描いた印象派らしい作品もありました。
08《うしろむき》広島県立美術館
南薫造《うしろむき》1909年、広島県立美術館[展示期間2/20~3/14]
戦後に日本の風景を描いた作品は色彩が鮮やかで、後期印象派のゴーギャンを連想してしまいます。
10《曝書》広島県立美術館
南薫造《曝書》1946年、広島県立美術館
全体を通して、南薫造の色彩センスの抜群さに恐れ入りました。 水彩画なんて素晴らしすぎます。
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展示風景
明るい所と暗い所を表現するための色彩の計算は、絵を描かない私でも「勉強になるなぁ」と思ってしまったほどです。 なんで勉強になると思ったのか全く分かりませんが、模範としてこれ以上のものは無い、と直感しました。
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展示風景
白樺の表紙も、個人的にグッときましたね〜。 武者小路実篤らが創刊した雑誌『白樺』は、彼らの文学のみならず、印象派の絵画やロダンの彫刻などを図版で日本に伝える役割も担いました。 文学と美術の交差という、私の好きなものしか無い雑誌なんですね。
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展示風景
本展では、文展・帝展・日展の出品作など南薫造の代表作に加え、水彩画や木版画など多様な作品が展示されています。 今回、恥ずかしながら私は初めて南薫造を知り、作品の魅力に触れました。 同じような方も多いのではと思いますし、今こそ洋画の面白さを感じ取っていただきたいです。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※取材許可を得て撮影しました。

展覧会基本情報

展覧会名:没後70年 南薫造 会場:東京ステーションギャラリー 会期:2021年2月20日(土) - 4月11日(日) 休館日:月曜日[4月5日は開館] 開館時間:10:00 - 18:00 ※入館は閉館の30分前まで 所要時間:2時間 観覧料:一般は1100円 公式HP:http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202102_minami.html

関連情報

「洋画って何?」と思う方におすすめしたいのが、爆売れ中の『洋画家の美術史』です! 南薫造はいないですが、黒田清輝や岸田劉生、藤田嗣治など重要な洋画家が分かりやすく紹介されています。 「日本の近代洋画はオムライスと似ている」という衝撃のキャッチコピーです。 国立新美術館では今年も『DOMANI・明日展』が開幕しました! 若手作家が中心となる展覧会で、さまざまな試みに元気をもらえる展覧会でした。 YouTubeの動画づくりを頑張ってます!
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