新刊『モネへの招待』レビュー。

印象派の巨匠、クロード・モネについて徹底解説する新しい書籍『モネへの招待』をご恵贈賜りました。
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界隈でとても話題になっている本書。 ほとんどのページがカラーで大量の作品が載っており、斬新な観点の解説も充実しています。 これは読んで得したなあ。 皆さんにもおすすめしたいので、本書について私が特に良いと思った箇所を紹介していきますね!

①時と共に変化するモネの絵

モネは睡蓮の連作でよく知られている画家ですが、初期からずっと睡蓮を描いていたわけではありません。 最初は全く評価を得られず苦労に苦労を重ねてきました。
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本書では、モネの代表作を制作された年代順に並べることで、モネの人生と絵を同時に紹介しています。 この特集を読めば、モネが睡蓮にたどり着いたのは画業の後半のことで、最初は別のモチーフを描いていたことがよく分かります。
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モネの苦労がよく分かるよ……。 今でこそ印象派は実力も認められ人気のある絵画運動ですが、出始めの頃は激しい批判の対象でした。 批評家たちが酷評し、モネの《印象、日の出》から「印象派」と揶揄して呼んだことからも分かるとおり。 モネは最初から絶賛された画家ではありませんでした。
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そんな彼が、時代の移ろいと共に評価されるようになっていく。 時代が追いついたとも言うべきでしょうか。 本書では右上に「ナポレオン3世(第二帝政)」「第三共和政」などフランスの政治体制も書かれており、政治とモネの画業を同時に追いかけることができます。 戦争や共和政への移行は、モネの画風や画家としての人生に少なくない影響を与えたのだろうな、と感じます。

②比較で浮き彫りになるモネの関心

「モネは何に関心を抱いていたのか?」が明らかになるのが、比較のセクションです。 本書は、「最初の妻はよく絵のモデルになったが、二人目の妻は描かなかった」「当時のサロンに入選した作品、モネらの落選した作品」といった斬新な切り口の比較が充実しています。
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比較をすることで、モネという人物が浮かび上がって来るようです。 例えば、同時代の画家との比較。 モネとルノワールは同じ風景を一緒に描いたことがあるのですが、二人の作品はかなり違う印象です。 同じ風景を見ても、その中で何を主役と感じるのかは、画家によって異なるのですね。
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浮世絵との比較も面白かったです。 モネは日本の浮世絵版画を集めて自分の絵に活かしていました。 本書で比較すると、類似点がくっきりと浮かび上がってきますね。 比較という切り口でモネの作品が紹介され、そこには個性や彼ならではの哲学も感じられます。

③積みわらギャラリー

ありそうで無かったのが積みわらギャラリー!
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モネは積みわらを連作で大量に描いています。 季節や時間帯、天気が異なる積みわらを描いており、それぞれの作品が見る人に与える印象はさまざまです。 そんな積みわらはいろいろな美術館に収蔵されており、一堂に会す機会はそうそうありません。 ですが、本書ではたくさんの積みわらを集め、紙面で比較できるようになっています。 作品ごとの微妙な違いを読み取ることができますね。 それにしても、色合いが優しく、お菓子のアポロのような形が可愛らしいので、何とも癒されるページになっております。

④モネが描いた雪

「モネの雪景色」のコラムも面白かったです!
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絵心の無い私のような人間が雪を描くとしたら、絶対に白の絵の具をべちゃべちゃ塗っていきます。 でも、モネはそうじゃないんですよね。 雪に反射する空の青や、雪に埋もれなかった赤い壁を描くことによって、白を浮かび上がらせているんです。 色は周りの色によって「色」となることを学べますね。

⑤旅行気分でジヴェルニーへ

ジヴェルニーにあるモネの家についてのコラムがあるのも良かった! コロナ禍で海外旅行ができない今、旅行気分を味わえるコラムです。
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晩年のモネはジヴェルニーの家にこもり、庭を自分好みに整えつつ絵を描きつつで暮らしていました。 モネが繰り返し描いた睡蓮の池もあり、モネの家を訪れればいつでも絵画の世界を楽しむことができます。

⑥睡蓮の見方・見どころ

美術ブログ「青い日記帳」のTakさんと、三菱一号館美術館の学芸員である安井裕雄さんの睡蓮についての対談も勉強になりました。 なぜ同じ画題を描き続けたのか、日本の文化の影響は見られるかなどが語られています。
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中でも面白かったのが、睡蓮308点の分類! 制作年や大きさで4つのグループに分けることで、モネの関心の移り変わりを読み取ることができます。 同じ睡蓮を扱った作品でも、睡蓮との距離やキャンバスの大きさが異なり、確かにモネの意図の変遷が見られます。

まとめ︎

『モネへの招待』の感想を語ってきました。 もちろん紹介していない内容もありますし、モネのすべてが分かるとっても濃い一冊になっています。 コスパ良い書籍だな〜 読んで得する一冊なので、皆さんにもおすすめしたいです! Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

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