『建物公開2021 艶めくアール・デコの色彩』主観レビュー。

旧朝香宮邸の居心地よさは、色彩の秘密にあるのかもしれません。
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東京都庭園美術館で『建物公開2021 艶めくアール・デコの色彩』が開幕しました。 朝香宮夫妻の邸宅として使われていた本館は、建物自体が美術品と言える美しさ。 年に一度の建物公開を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか?
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今回の展覧会では、旧朝香宮邸における「色彩」に注目します。 1933年に竣工した本邸宅は、内部の装飾がアール・デコ様式で統一されているのですが、色彩という着眼点はとても斬新です。
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アール・デコ様式の特徴といえば、直線や幾何学図形を用いた合理的なデザインです。 色彩はケース・バイ・ケースですが、白黒系のモノトーンや、赤や青など原色に近い鮮やかな色を組み合わせた例が多いかな、と思います。
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では、旧朝香宮邸の色彩も原色やモノトーンの組み合わせなのかというと、そうではない箇所の方が多いと思います。 むしろ自然に近い色彩を上手に取り入れており、優しい色づかいで暮らしやすくなっているのが、大きな魅力ではないでしょうか。 つまり、アール・デコ様式を基調としているけれど、多方面から美を取り入れた建築だと感じました。
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例えば小客室のアンリ・ラパンによる壁画は、アール・デコらしくはないかなあ、と思います。 木や草の自然な色に近く、どちらかと言えばアール・ヌーヴォーに近いのではないでしょうか。 (1933年の竣工当時と現在の色が全く同じかどうかは分からないですが)
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今回特別に再現された、妃殿下寝室の壁紙もそうです。 上品なワインレッドで、草花を思わせるモチーフが描かれており、アール・デコというよりはアール・ヌーヴォー寄りに感じられます。
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壁紙はそれぞれの部屋を使う朝香宮家の方々が選んだそうで、ワインレッドの壁紙は妃殿下の好みなのだろうと思います。 それでも、邸宅のすべてがアール・デコでかっちり統一されているわけではない、と理解できるでしょう。
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木材や石材も、自然な色合いであたたかそうな印象があります。 こうして色彩に注目して旧朝香宮邸を見ていくことで、アール・デコ一辺倒では語れない魅力に気づけました。
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アール・デコのモダンな装飾は、スッキリとして機能的ではあるのですが、ときに冷たい印象を与えることがあります。 しかし、旧朝香宮邸には柔らかな色がたくさん使われており、あたたかみのある暮らしやすい空間になっていると感じました。
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本展では写真撮影が可能です。 近くで建物を鑑賞している人への配慮は忘れないようにしながら、お気に入りの色彩を記念に残しましょう! Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

展覧会基本情報

展覧会名:建物公開2021 艶めくアール・デコの色彩 会場:東京都庭園美術館 会期:2021年4月24日(土)-6月13日(日) 公式HP:https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/210424_0613_TheLustrousColorsofArtDeco.html

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