東京都美術館で『ゴッホ展――響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』が始まりました。

72dpi_①フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》
フィンセント・ファン・ゴッホ 《夜のプロヴァンスの田舎道》 1890年5月12-15日頃 クレラー=ミュラー美術館蔵 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo, The Netherlands
本展の中核をなすのは、オランダにあるクレラー=ミュラー美術館が誇る名画たち。 ゴッホの油彩と素描を中心に、ルノワール、モンドリアン、ルドンなど、約70点の作品が来日しています。 とにかく強くお伝えしたいのが、クレラー=ミュラー美術館のコレクションを日本で見られることが、いかにお得かということ。
72dpi_④フィンセント・ファン・ゴッホ《レストランの内部》
フィンセント・ファン・ゴッホ 《レストランの内部》 1887年夏 クレラー=ミュラー美術館蔵 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo, The Netherlands
私は以前、美術館を巡るためにオランダに2週間ほど滞在したのですが、クレラー=ミュラー美術館には行きませんでした。 アムステルダムからクレラー=ミュラー美術館に行く場合、30分に1本の列車に乗って約1時間、1時間に1本のバスを乗り継いで約1時間。 片道2時間はかかりますし、そもそも私が正しい列車とバスに乗れるとは思えません。 日本国内でも、しょっちゅう電車を間違えているのですよ。
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オランダ・ハーグの風景(2019年9月 筆者撮影)
さらに、私が根城にしていたのは首都アムステルダムではなく、ハーグでした(マウリッツハイス美術館があるところ)。 私には、ハーグからクレラー=ミュラー美術館に行く効率の良い方法を調べる能力がなく、また現地の人に聞く勇気もありませんでした。 ハーグ⇒アムステルダム⇒クレラー=ミュラー美術館と夏の大三角のような経路で行けなくもないですが、片道3時間はかかる迂回路です。
72dpi_⑱クレラー=ミュラー美術館外観
クレラー=ミュラー美術館外観 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo, The Netherlands
そういうわけで、クレラー=ミュラー美術館に行くのは諦めました。 「アムステルダム中央駅から徒歩10分!」みたいな施設ではないこと、伝わりましたでしょうか。 それに比べて、東京都美術館に行くのはとても簡単ですね。 上野でクレラー=ミュラー美術館のコレクションに会えるのは、なんともお得なチャンスだと思います。
72dpi_⑧フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人》
フィンセント・ファン・ゴッホ 《種まく人》 1888年6月17-28日頃 クレラー=ミュラー美術館蔵 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo, The Netherlands
さて、クレラー=ミュラー美術館を創立したのは、ヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)。 実業家の夫アントンに支えられながら、1万1,000点を超える作品をコレクションしました。 美術館の建設は一筋縄ではいかず、ミュラー社の経営危機、建築士の離脱など、多くの障害を乗り越えなければなりませんでした。 1910年頃に構想を抱き始めた美術館が開館したのは、1938年のこと。 初代館長に就任した彼女は、1939年、70歳でこの世を去りました。
72dpi_⑰ヘレーネ肖像写真 正面
ヘレーネ・クレラー=ミュラー ©Kröller-Müller Museum, Otterlo, The Netherlands
多くの困難のなかで、ヘレーネは絵画に慰められていたのではないか、と思います。 ゴッホが目指したのも、人々に寄り添い、慰めとなる絵画でした。 私が惹かれた《青い花瓶の花》には、甘酸っぱい果実のようなレモン色やオレンジ色、よく晴れた春空の淡い青色、砂糖のように混じり気のない白色など、両手で持てないくらい沢山の花が描かれていました。 小さな花瓶から花束が飛び出す様子は、ビックリ箱を開けたかのよう。 《青い花瓶の花》が持つ明るさは、美術館建設の先行きに不安を感じるヘレーネの心を、癒したのではないでしょうか。 また、クレラー=ミュラー美術館の開館を祝福しているようにも見えました。
72dpi_⑪フィンセント・ファン・ゴッホ《花咲くマロニエの木》
フィンセント・ファン・ゴッホ 《花咲くマロニエの木》 1890年5月22-23日  クレラー=ミュラー美術館蔵 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo, The Netherlands
展覧会タイトルにある「響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」のとおり、絵画を介して二人の心が通い合う様子が読み取れました。 ゴッホの「人々の心を慰めたい」という夢と、ヘレーネの「社会に幸せと喜びをもたらす」という夢が共鳴しているのです。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※許可を得て画像を掲載しています。

展覧会基本情報

展覧会名:ゴッホ展――響きあう魂 ヘレーネとフィンセント 会場:東京都美術館 企画展示室 会期:2021年9月18日(土)~12月12日(日)※日時指定予約制(詳細は展覧会公式サイトへ) 休室日:月曜日 ※ただし11月8日(月)、11月22日(月)、11月29日(月)は開室 開室時間:9:30~17:30 ※10月15日以降の金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで) 展覧会公式サイト:https://gogh-2021.jp 問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

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