すみだ北斎美術館で展覧会『北斎バードパーク』が開幕しました。
会期は5月21日(日)までです。

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展示風景
北斎一門は鳥を題材にした作品も数多く残しています。 あらゆる種類の鳥が作品に登場するのみならず、作品の多様さや、その中で鳥が果たす役割についても学べる展覧会でした。 本展は以下の3章構成です。 概要をご紹介していきましょう。

1章 バードウォッチング

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展示風景
江戸時代には、鳥の飼育が流行したほか、さまざまな鳥をながめながら茶湯を楽しむ花鳥茶屋(現代のフクロウカフェみたい?)が存在した。 1章では北斎らが描いた66種類もの鳥が作品とともに紹介される。

2章 鳥グッズ

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葛飾北斎 『今様櫛きん雛形』 くしの部 下 のがん うんくわく みづあほいさぎ ニばんぼにきぢ 文政6年(1823) 横本(通期展示)
江戸時代には着物の文様や工芸などに鳥の意匠が用いられた。 2章では北斎らがてがけた櫛や煙管のデザイン集や鳥グッズの数々が描かれた浮世絵などが展示される。

3章 舞台装置としての鳥

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葛飾北斎 『卍翁艸筆画譜』 山鴞 天保14年(1843) 半紙本(通期展示)
いにしえより、日本人は季節や感情を鳥に託して表現してきた。 3章では、北斎らの作品を通して、鳥が舞台装置の役割を果たした展に着目し、それを描いた絵師の意図を読み解いていく。。 以上の3章構成です。 「鳥の絵」でひとつの展覧会が開けるほど、北斎一門がバリエーション豊かな作品を残したことが伝わるでしょうか? 個人的には、作中の人物の気持ちを表す舞台装置としての鳥に惹かれました。 たとえば、「『新累解脱物語』 いさゝ むら竹」です。 男女の愛憎をめぐる物語に、北斎が挿絵を寄せています。
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葛飾北斎 『新累解脱物語』 いさゝ むら竹 文化4年(1807) 半紙本(通期展示)
主君の男色関係に嫉妬している側室に、男が奸計をもちかける場面を描いているとのこと。 庭の池で泳ぐオシドリのつがいを、男性が指さしています。 仲睦まじい夫婦を連想するオシドリをわざわざ指さして示すとは、含みのある描写です。 オシドリを指さすシーンは、本文には登場しないとのこと。 作中の人物の感情をより劇的に表現するため、北斎はオシドリを舞台装置に用いたのではないでしょうか。
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展示風景
鳥を主役に描いた錦絵などの作品も、主役ではない挿絵などの作品も、それぞれの「目的に合った」見どころがあります。 鳥に注目することで、鳥というモチーフに託せる感情の多様さや可能性に気づくことができました。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※取材許可を得て撮影しました。

展覧会基本情報

展覧会名:北斎バードパーク 会場:すみだ北斎美術館 会期:2023年年3月14日(火)~5月21日(日) ※前後期で一部展示替えを予定  前期:3月14日(火)~4月16日(日)  後期:4月18日(火)~5月21日(日) 休館日:毎週月曜日 公式HP:https://hokusai-museum.jp/BirdPark/

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