ピカソ?マティス?

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フアン・グリス「Violin and Glasses」(1914-1915年)

色彩センス良すぎ!
どうしましょう、オレンジと緑の組み合わせが綺麗すぎやしませんか?
爽やかな緑と暖かなオレンジ色が、そよ風を運んでくるようです。

明るい色同士がお互いを引き立て合っているし、深緑が画面をギュッと引き締めています。
勢い余ってスマホの待ち受けにしてしまいましたよね。

マティスを思わせる色彩センスと、ピカソのようなモチーフの分解
この絵を描いたのは、フアン・グリス(Juan Gris)というスペインの画家です。


フアン・グリスの絵画

他にはどんな作品があるのでしょうか?

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フアン・グリス「Guitar and Bottle」(1920年)

ボトルというか、徳利のようなモチーフがギターの右側にあります。
左上にブドウのようなモチーフがあって食卓っぽいです。
音楽と美味しい食事の楽しい時間ですね。
線も踊るような曲線です。


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フアン・グリス「The Open Window」(1917年)

これは中々クールな作品。
赤い窓が目を引きますが、窓が内開きなのか外開きなのか分からず、見るほどに混乱してきます。
外には枯木が立っています。
冷たい空気が窓から入ってくるのを感じますね。


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フアン・グリス「The Blue Cloth」(1925年)

こんな分かりやすい作品もあります。
本、ギター、新聞、グラス、果物と、真っ白だけど分かりやすいですね。
テーブルクロスの青背景の紫の相性が良すぎて、かっこいい作品になっています。


グリスの作品の特徴は、バランスの取れた色彩分かりやすいモチーフ
ピカソとブラックというキュビズムの2大巨匠の影に隠れていますが、
ある意味、ピカソよりも愛されるべき画家なのです。


わずか40年の画家生命

ピカソは91歳、マティスは84歳と長生きし、画家としてどんどん円熟していきました。
一方、グリスは40歳で尿毒症によって亡くなってしまいます。

尿毒症って物凄くつらいらしいです。
尿が出なくなるので老廃物が体の中から抜けず、常に気だるく、吐き気や嘔吐もあるようです。
血液から老廃物が出ないので、体全体に影響する病気のようです。
想像しただけでつらい…。

グリスは38歳の頃から病に苦しめられます。
38歳って、自分に置き換えるともうすぐな気がして…
そんな働き盛りに重い病気にかかるなんて、自分だったら泣きます。
ネガティブなことしか考えられないです。

それでは、38〜40歳のグリスの作品を見ていきましょう。

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フアン・グリス「Table Overlooking the Sea」(1925年)

色んな絵の具が出ているパレットが可愛らしいです。
グリスの好きなものを集めたのかな。愛情溢れる絵ですね。


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フアン・グリス「Apples and Lemons」(1926年)

これ、グリス作品の中で一番好きかも!
器とポットが噛み合わさってて面白いです。


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フアン・グリス「Playing Cards」(1926-1927年)

トランプの絵です。
こういうので遊ぶのが流行ってたのかな?


しかし最期まで作風が全く変わらない…!
ビビッドな色が調和した画面で、分かりやすいモチーフが楽しそうに収まっています。
ギターや本、グラスのモチーフがグリスのお気に入りだったようで、ずっと変わらずに登場しています。

この不変さに泣きそうです。
尿毒症で物凄くつらいのに、つらさを作品にぶつけないところが職人すぎる…!
黙って耐えるグリスの背中に涙…!






妄想で涙するところまで来てしまった!

弊職としては、グリスの絵を知ったとき、なんて幸せな色使いなんだろう!と思ったわけです。
そんな彼がどんな思いで絵を描いていたのか?
考えるだけで胸がぎゅーっとなります。

本当のところ、グリスの苦しみや画業にどう向き合っていたかなんて事実は誰にも分かりません。
しかし、グリスの不変な画風に、あなたも思うところがあるのでは?
信じるか信じないかは、あなた次第!


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